病気のこと

師匠から学んだこと、指圧師として経験してきたこと、一般的な知識などを、病名別にまとめました。指圧治療の効果についての記述は、特別な記載がなければ、全身指圧を定期的に継続した時のものとご理解下さい。繰り返し手をかけてあげることで、さまざまな疾患に改善がみられます。

便秘

毎日便を出しましょう。便が腸に長逗留すればメタンガスを発生して腸壁を傷つけますし、便の中の有害物質を腸が再吸収してしまいます。

からだの能力には、食事をとれば自然と便意を生ずるという「排便反射」というものがあります。一日3食の方は、3回排便しても自然です。

良い便通のために!
①全身指圧をする:腸が動きだします。
②腹八分目に食べる:消化機能が改善されます。
③食後にリラックスタイムを作る:副交感神経優位になって便意が生じます。
④日中はカイロを貼る:「下腹部」「腰の両脇」「ふくらはぎ」「足の裏」などおすすめ。
⑤夜はお風呂で温まる。
⑥早寝早起きの、良い睡眠を心がける。

もし便秘薬頼みでないと排便できなくなっているようなら、自力排便できるようになりましょう。長い間薬に依存していると(特にセンナ、アロエ、大黄などの成分に注意)、自力で腸を動かす力を失ってしまいます。是非指圧にお越しください。便が出せると体調は大きく変わります。

「自己管理のこと:食べる(便を出す)」参照

アレルギー

からだに無害なもの(食品や花粉など)に対して、本来免疫反応は起こらないはずです。しかし、それが過剰に起こってしまうのがアレルギー反応です。このような時は、免疫細胞が上手に働いていないということです。

体調を良い状態で安定させれば、無害なものには過剰反応しない免疫細胞へと、次第に生まれ変わっていきます。詳しくは「本文:細胞の治癒、自然治癒力-免疫力」をご覧下さい。

当院はアトピーやその他アレルギー、化学物質過敏症の方にも、優しい治療環境です。寝具は石けんまたはセスキ炭酸ソーダで洗濯をしています。敷布団はダニのつかない洗える素材(ブレスエアー)です。掃除機をかけ、空気清浄機を備えています。エアコンは定期的に分解掃除をしています。治療院の建物や内装は、化学物質を極力排除しています。
これからもからだと心が落ち着けるような、治療院づくりをしていきたいと思います。

「本文:細胞の治癒、自然治癒力-免疫力」参照

花粉症

「花粉の量」×「体調」=「症状の強さ」
花粉症は、上記の式で考えてください。花粉の飛ぶ量が少なければそれが一番いいのですが、多い年は体調をコントロールすることで、症状を緩和していくことを考えてください。

緩和策の基本は、まず体内に侵入する「花粉の量」を減らすこと。外出時のマスクや、帰宅後の手洗いやうがいを習慣にしたいです。空気清浄機も効果があります。

「体調」の面では、花粉症は頚と下肢の筋肉が凝ってきますので、積極的に貼るカイロで温めて下さい。おすすめは毎朝「足裏」と「ふくらはぎ」にカイロを貼ること。ふくらはぎはスパッツの上に、足裏は靴下二重履きにしてその間に貼ると良いです。また「頚」も一日中温めておきたいです。マフラー、スカーフ、バンダナなどにカイロを忍ばせておきましょう。一日の終わりにお風呂で温まることも有効です。また対症療法ではありますが、マスクにペパーミントオイルをたらすと、鼻がスーっとして呼吸が楽になります。

花粉の時期は、映像(テレビ、パソコン、ゲーム、映画等)を見るのは、必要最低限にとどめるようにしたいです。眼精疲労も頚肩が張りますので、花粉とダブルパンチになると辛さが倍増します。紫外線もできるだけ避けたいです。

私たちは、花粉に「排ガス、PM2.5」などがくっついた状態で、体内に吸い込みます。花粉自体ではなく、その化学物質にからだが反応して、花粉症の症状が出るといわれています。

少しでも楽に花粉の時期をやり過ごすには、全身指圧をお試し下さい。頚肩や下肢のむくみが非常に楽になります。目、鼻、熱などの症状も緩和されます。「体調」の面で大きくサポートいたします。

化学物質過敏症1(こんな病気です)

●化学物質過敏症は、「化学物質に反応して、多様なつらい症状が出る」疾患です。
●原因物質(化学物質)の種類が非常に多いことや、過敏症の症状が多様なことなどから、病気の解明が遅れてきました。日本では、2009年に「化学物質過敏症」の名称で中毒部門で病名登録がなされ、公的には認知されたばかりです。
●発症原因は、例えば、化学物質の多い職場環境(医者、研究者、美容師、印刷業等)であることや、新築やリフォームによるもの(シックハウス)、ダニやシロアリ駆除のために薬剤を使ったため、等があります。
●2012年頃から患者が増えており、その原因として高残香(いつまでも香る)の合成洗剤、柔軟剤、抗菌除菌剤のブームが考えられています。伏流煙ならぬ伏流香を吸い込むことで、使用者以外の人も発症しています。
●2020年から、コロナウイルス感染症の対策として、消毒剤・除菌剤を使うようになりました。コロナ禍で除菌剤を多用する状況も、過敏症患者を増やす原因になっています。物を除菌するのはわからなくもないですが、除菌剤入り洗濯洗剤を使えばからだじゅう除菌剤まみれです。高残香成分以上に有害成分です。
●花粉症や2型糖尿病などと同じく多因子疾患で、
「化学物質への抵抗力(遺伝因子)」×「体内に吸い込む化学物質の量(環境因子)」=「発症」
●強い遺伝因子を持って生まれれば、化学物質の多い環境でも病気になりにくいということです。たくさん食べても糖尿にならない方がいるのと同じで、個人差が大きいです。
●花粉症や2型糖尿病と同じで、一度発症してしまうと、環境因子(花粉症は花粉、糖尿は飽食等、過敏症は化学物質)を減らしていかないと、からだに大きな負荷がかかり続けます。
●化学物質は脳にも影響があります。
●子供の発達障害が急に増えたのも、「化学物質&電磁波」が原因という研究があります。電磁波によって血液脳関門が開いてしまい、化学物質が入り込み、脳神経のダメージになるというものです。
●過敏症の症状は多様です。脳神経の症状としては、記憶力の低下、思考力の低下などがあります。身体症状は書ききれないほどあり、目鼻口耳の症状から消化器、呼吸器、皮膚や筋肉にまで及びます。
●化学物質過敏症がアレルギーや中毒と違うところは、脳の反応(過敏性)です。
過敏症患者は、周囲に漂うごく微量の化学物質にも反応してしまいます。(人間にはこんな微量なものを感じる能力が備わっているのか!と驚きます。)
それはダメージを避けるための能力なのですが、化学物質だらけの今の世の中においては、痛みなどとはまた違う種類の辛さとなってしまいます。
●過敏症を改善するには、
①体内に蓄積している化学物質を排出すること
②新たに体内に入れないこと、です。
体内から化学物質が減っていくにつれて、辛い症状や、過度の恐怖感なども自然と減ります。排出は自己管理でも可能ですが、新たに入れないためには、生活環境や職場環境が変っていかないと難しいです。
●公共による規制も望みますが、企業が、人体や環境に良いものづくりをしてくれれば、それが一番の解決策になると思います。

化学物質過敏症2(指圧治療)

全身指圧を継続していただくことで、化学物質過敏症の症状はだんだん楽になっていきます。
体内の流れ(血液、リンパ、神経)が改善されることで、免疫力の向上、内蔵機能の改善になります。便や汗などの排泄も上手にできるようになり、毒素の排出に大きく貢献します。体調が上向けば、自然に精神も安定します。

体内の毒素は、指圧の最中にも排出されます。
全身指圧は、横向き・うつぶせ・あおむけと姿勢を変えて、1時間30分ほど治療をします。治療の後半に、患者さんの体内からチクチク・イガイガしたものが噴出します。体内に蓄積している化学物質や老廃物と思われます。あおむけでわきの下やお腹を圧している時に出ることが多いです。
患者さんと「出ました!」と喜んでいます。(治療者としては浴びると辛い時もありますが、、、出ると嬉しいのも事実です)

私自身が発症した時は、指圧の師匠に治療してもらいました。指圧に通う電車も臭いし、治療院に行けば合成洗剤だし、怖くて溜まりませんでした。しかし指圧での毒素排出を実感し、行かなければと気持ちを強く持って通い続けました。師匠からの「時間はかかるが良くなる」という言葉もあり、週1回の治療を受けました。発症から1年で本当に楽になりました。
はじめは治療院への行き帰りがつらくても、体調が変わるにつれて必ず楽になります。

もしもCS対応ではない治療院に行かれる場合は、以下のようにされると良いのではないでしょうか。①「東海有機農産の超活性炭シート」を持参して、敷布団の上に引かせてもらう。シート周囲をパイピングした製品あり。しない製品は持ち歩くと炭の粉がこぼれますので、コロコロ粘着クリーナーを持参して掃除させてもらうと良いです。
②掛け布団はかけないでもらう。
③柔軟剤対応マスクをしたまま治療してもらう。
④メガネをかけるか、目の上にタオルをのせる。

歯肉の腫れ、歯槽膿漏

歯肉の弱い方は、自己指圧(自分自身を指圧すること)が効果的です。歯磨きにプラスして、毎日3分程歯肉を圧してみてください。

手を良く洗って、親指と人差し指で歯肉をはさんで圧迫します。腫れたりして歯肉の状態が悪い時は、圧すと相当に痛いです。しかしめげずに、「こんなに状態が悪いのだからもっと手をかけてあげよう」と、治療してみてください。痛いところは、そっとやさしく長めに圧します。
手を洗えない時や人の目があるときは、歯肉に直接触れなくても、お顔から圧すだけでも効果があります。親指以外の4本の指を揃えて、やさしく歯肉の辺りを圧します。左右同時に圧せます。

気長に続けると腫れや痛みが引いて楽になります。血行が良くなることで歯ぐきが引き締まりますし、むくみが取れて小顔になります。

全身指圧をして脳への血行を改善しましょう。心臓から押し出された血液は、頚を通って脳へと流れています。肩こりや頚の張りを治すことで、血液の通り道を確保することができます。

脳血管障害や脳機能障害のリスクが減りますし、脳細胞に栄養や酸素が行き届くことになるので、脳の能力(記憶力、集中力、判断力、からだ全体の調整力など多数)が、今よりも上手に使えるようになります。

実際指圧を受けたあとは、頭がはっきりとしたり、目が良く見えるようになったり、頭部への血行が良くなっていることが感じられます。また、定期的に治療を続けるとからだが健康になっていくのも、脳の機能が改善している証拠だと思うのです。脳はからだの調整役です。脳の健康なくしてからだの健康はないです。もちろんその反対も然りです。

記憶について書かれた本をご紹介します。インタビュー形式で読みやすいです。
海馬 脳は疲れない
池谷裕二+糸井重里 朝日出版社 2002初版 1700円 (文庫版あり)

人は一生使い切れない数の脳細胞を持って生まれるので、脳疾患がない限りは、細胞の老化による記憶の低下はないそうです。加齢と記憶の減退は無関係というのは、これから年を重ねていく上で貴重な情報だと思います。内容盛りだくさんなので、記憶に興味のある方は是非お読みください。

介護疲れ

介護の疲れは、肉体からくる疲労のほかに精神的なつらさが加わっているので、からだに相当なダメージがあります。疲労を溜める一方では、介護している人が息切れしてしまいます。
全身指圧は体調維持に役立つだけでなく、「からだが緩めば気持ちも楽になる」という精神面でのサポートもいたします。

介護を受けている方も是非いらしてください。体調に合わせて圧加減いたします。全身を刺激して血行を改善することは、どのような疾患にも有効です。もしも完治は難しい疾患でも、毎日の生活が今よりも楽になるお手伝いができると思います。まずは一度どんな治療かお試し下さい。

乳がん、乳腺炎

浪越流の指圧は、全身指圧が基本です。体幹はもちろん手の指から足の指、頭の先に至るまで圧しますので、本当に丁寧な施術です。圧さないところは、性別によって触れるのがはばかられる場所だけになります。ですから胸は通常は圧しません。これまでは、お乳が出ないお母さんへの乳房指圧というときだけ、胸に触れてきました。

しかし当院では胸の指圧をはじめました。※注1
胸の血行が悪いと、乳がんや乳腺炎のリスクが上がってしまいますし、肩こりの原因にもなります。疾患の多い箇所なのに胸だけ飛ばして施術をしていることが、ずっと気になってはいたのです。
そんな時テレビで見たのが、ベテラン助産婦さんのおっぱい体操でした。胸を揺らすというのは時間がかからず効果のある方法だなと、さっそく治療に取り入れました。

とても簡単です。胸を揺らすだけで良いのです。肩こりにも効くし、胸の形も良くなります。硬い胸でも、案外早く柔らかくなるので楽しいです。
きれいをつくるおっぱい体操
神藤多喜子 池田書店 2011初版 1300


ちなみに当院で施術を受けるときは、ごめんどうでなければブラジャーをはずしていただくことをおすすめします。ワイヤーや縫い目で隠されたコリは圧せないからです。もしブラはずしに抵抗がある方は、つけたままでも大丈夫です。当院では触れる範囲で指圧致しますので、ワイヤーのライン沿いなど(コリができやすい)は、おうちで自己指圧してみてください。

※注1:法律によって、指圧師は医師のような診断はできません。胸の治療も、あくまで乳がんや乳腺炎にならないでほしい、という予防の意味で始めたものです。ご了承下さい。

糖尿病、高コレステロール

からだは本来、血中の糖やコレステロールの量をコントロールする能力を持っています。指圧は圧刺激で血行を改善し、徐々にからだの能力を元に戻していきます。

問題は、指圧は薬のように強制的に糖やコレステロールを下げるわけではなく、からだの能力を上げて正常値にしていくということです。ですから、からだの能力の限界を超えた食事をしていたのでは、指圧で3歩進んでも、生活する中で2歩3歩と下がってしまいます。やはり食事内容を改善することを必須として、指圧と組み合わせた治療を考えていただきたいと思います。

まずは食欲が問題です。食べられないことがストレスになってしまい体調を崩したのでは、本末転倒になってしまいます。まずはあまり考えず、とりあえず指圧に来てみてください。体調が整ってくるにつれて気持ちも安定してきます。すると不思議と食欲が制御しやすくなります。

人間のからだは飢餓には強く、飽食には弱く出来ているのです。日本でも飢えのない生活になったのは、ごくごく最近のことです。「今の豊かさは、実はからだの能力には合っていない」と一応の自覚を持って生活することが、大事だと思います。

ところで、血糖値やコレステロール値が高いことは、なぜ害になるのでしょう?
血液中の糖分が多いと血管に負担がかかり、徐々に血管壁が劣化していきます。血液中のコレステロールが多いと、血液の通り道が細くなっていきます(血管の内壁にコレステロールがヘドロのように張り付いてしまうため)。つまり両方とも、血行が悪くなってしまうからなのです。
血行の大事さについては、「本文:からだの生命線」をご覧ください。

めまい、メニエール

耳の中には、平衡感覚をつかさどる器官があります。その器官には体液が一定量入っていて、体が傾くと水面も傾く、その角度を感知して平行を保つようなしくみになっています。器官の水分量が一定に保てないと、平衡感覚が狂います。

めまいやメニエールは、頭部への血行が悪くて器官の水分量が安定せず、平衡感覚に支障が出ているものと思われます。耳がむくんでいる、と表現しても良いかもしれません。また、頭部への血行の悪さは自律神経の不調にもつながりますので、それも一因となります。

全身指圧は効果があります。継続してお越し下さい。血行をよくすることで頭部への血流も改善され、自律神経も整います。

ご自分で頚肩周辺を温めることも有効です。タートルネックを着る等も良いのですが、カイロなどでもっと積極的に温めることをおすすめします。カイロで耳や頚を温めてみてください。楽になりますし、毎日のように続けることが治療になります。

薄毛

髪の薄い方は、頭皮、頚、肩などがとても硬くなっています。心臓から頭皮に血液を送りたくても、中継する頚が硬いので、上手く送れていないのです。全身指圧はとても効果があります。血行を改善して頭皮に栄養を与え、老廃物は排出させましょう。

昔、育毛剤のコマーシャルに「つけてたたく」というものがありました。ブラシのようなもので叩くと血行が良くなる、ということでしたが、本当に良いのでしょうか。
例えば健康サンダルの突起は、かえって足にコリを作ってしまいます。育毛の面でも、頭皮を硬いものでたたくよりも、指の腹で軽く触れるくらいの刺激を毎日こまめに繰り返すほうが良いと思います。頚、肩を良く温めて、柔らかく保ちましょう。
洗髪には、石けんシャンプーとクエン酸リンスがおすすめです。もし整髪剤などを使わない方なら、お湯だけで洗うお湯シャンをメインに、石けんシャンプーはたまにすれば十分です。
「自己管理のこと:石けんシャンプー&クエン酸リンス」参照

癌細胞は、元は自分自身の細胞です。ウイルス、紫外線、化学物質などの影響で、からだに悪さをする異形細胞に変わってしまったものです。

正常な細胞から癌細胞に変化する数は、一日に300個以上とも言われています。人の免疫力は、毎日それだけのガン細胞を排除しているのです。古い教科書には60個と書いてありました。それが300個という記述になったのは、環境悪化や食品添加物など、癌の原因が増えているせいではないでしょうか。最近も環境は悪化の一途です。これからは毎日いくつの癌細胞ができるのでしょうか。

環境が悪化していくのは止められないところがあるので、とにかく自分のからだの免疫力を上げて、癌になった細胞は速やかに排除することを考えていきましょう。

癌の原因は、コリのできる原因と重なるところが非常に多いのです。ウイルス、紫外線、化学物質、食品添加物、ストレス、喫煙などです。そういうものを極力排除して、コリをつくらないようにすることが、自然と癌の予防にもなります。

癌とコリの予防のために、からだを温かく保つことは大変効果があります。また便秘を改善して、からだに入った有害物質を外に出してしまいましょう。
そして指圧にも、予防のためのお手伝いができると思います。コリを取って血行を良くし、胃腸の働きなども改善していきます。
「本文:自然治癒力-免疫力」参照

風邪

指圧を定期的に受けている患者さんは一様に、昔に比べて風邪を引かなくなったとおっしゃいます。体調が整えば、自然に免疫力向上がセットでついてきます。空気中にうようよいる風邪のウイルスは、昔と同じようにからだの中に入ってきているはずですが、昔と違って増殖する前に免疫力でやっつけているのです。

普通の風邪であれば、温かくして(特に下肢を)休養すれば、自然治癒します。風邪のときに指圧を受けると早く治ります。ただしインフルエンザなどの強いウイルスは、免疫力の手に余るので注意が必要です。その見極めは高熱であるかどうかです。9度近い熱が出たときは、強いウイルスを疑ってください。(ただし、熱の出せないような免疫力の弱い高齢の方はこの基準には該当しませんので、ご注意下さい。)

このようなときの食事は、温かいものを少なめに食べます。風邪の時に栄養を摂るというのは、食物が豊かではなかったときの話です。常時豊かな食生活の現代では、ある程度の栄養はすでに体内に蓄えられていますので、胃腸を休めることを考えたほうがいいのです。

抗生物質はウイルスを殺してはくれません。抗生物質は細菌に対する薬です。ウイルスに侵された体内の損傷部分の細菌感染を予防するという考えかたで、風邪のとき処方されるのです。ですから抗生物質で風邪が治ったわけではなく、実は自然治癒で治っているのです。いざというときに良く効くように、抗生物質はむやみに飲まないほうが良いのです。
「本文:自然治癒力-その他」参照

熱1(ウイルス)

平常時は、体温36.5度前後がからだにとって最適の温度です。からだにウイルスや菌が入り込んで増殖してしまった非常時には、発熱して体温を引き上げます。体温が上がると、免疫力が強くなり代謝も良くなる(消耗もしますが)のです。低体温が良くないのは、機能全般が常時低下しているからです。

インフルエンザなどの強いウイルスによる高熱は、免疫力の手に余るのでお医者にかかったほうが安心です。それ以外ならば、温かくして休息をとれば自然治癒力で治っていきます。このような普通の風邪ならば、指圧は効果があります。自然治癒力を助けて、熱が出せない方の場合は熱が出せるようになります。熱が出ている方の場合は、それを助けて早く熱が収束します。

熱を出してしっかり養生した方のからだを指圧すると、いつもより緩みやすいことが多くて、面白いなと思うのです。考えてみれば治癒のために熱が出るのだから(自然治癒力です)、熱を出す前より健康になっていても不思議はないのですが。反対に風邪をひいても休めなかったり、薬で下げたりすると、ぐずぐずと病をひきずってしまうことがあります。ひどくして肺炎などになっては大変ですので、多少無理をしても休みましょう。

熱2(冷え)

冷房や扇風機を使う時期に、少し熱っぽい、あるいはだるいと感じることはありませんか?

からだには、体温を一定に保とうとする機能があります。体温が下がると(低体温と同じで)免疫力や内蔵機能が落ちてしまうからです。筋肉も硬くなり血行も悪くなります。病気になるリスクが上がるので、からだは冷えに危機感があり、必死で体温を上げようとします。

夏の冷房時期は、冷えの悪循環に陥りがちです。冷房などで冷えると、からだは体温を上げようとして微熱になることがあります。その火照り感を暑さと勘違いして、更にからだを冷やしてしまうと、「だるいが原因が分からない。」という状態になっていきます。だるさの原因はからだが冷えきっていて、身体機能が低下しているからです。
熱中症を予防しながらも、冷やし過ぎも害になるので、両方に気を配りたいです。

冷房への対処法は、体温維持をからだ任せにせず、毎日まめに温めの補助をしてあげることです。
①毎日お風呂に入って芯まで温まる。熱帯夜は37度のぬる湯でもよい。②就寝時は長袖長ズボンのパジャマと就寝用靴下。お布団をはぐことを前提にして。③日中も肌を露出しないよう心がけ、たまにふくらはぎや二の腕に触れてみて温度確認。冷えていれば着込む、さするなど。

からだの冷えが無くなれば、熱感も無くなるので、自然と冷やし過ぎが防げるようになります。
また夏の体調管理に全身指圧にいらしてください。「火照る」という項目にも書きましたが、体調が整うと火照り感は無くなり、冷えに対処できるようになります。

下痢

下痢は、からだの中の不要物を外に出そうとする現象です。自然治癒力によるデトックス(毒素の排出)です。以前O157が流行ったときに、下痢を薬で止めたために亡くなった方がいました。増殖したO157ウイルスは毒素を出します。からだは下痢で外に出そうとしたのに、薬がそれを止めてしまったのです。

今後環境が悪化していけば、健康な方は下痢をする回数が増えるのではないでしょうか。全身指圧でからだを整え、いらないものを出せるようになりましょう。

精神的な疲れ

精神的な疲れに、指圧はとってもおすすめです。こころとからだは一つのもの(心身一如)といいますが、本当にそのとおりだと思います。
「最近元気がでないなあ。」という方は、全身指圧でからだを緩めにきてください。気力が出ないときは、必ず!からだにも疲れが溜まっています。

師匠の鈴木先生は、アメリカが湾岸戦争をしていた頃「ブッシュをプッシュすれば世界平和になる」とよくおっしゃっていました。もし紛争を起こすような人のからだを指圧できたとしたら、からだが緩んで楽になり、同時に心も緩んで楽になり、本当に平和に貢献できると思います。

精神的につらくて、指圧は受けたいけれど会話をする気力もないので足を運びづらい、という方も気軽にいらしてください。治療に必要なことだけ伺えば、あとはお昼寝に来たと思ってゆっくりお休みください。

痛み(1)

まずこちらをお読み下さい。
「本文:痛みのこと」参照

痛み(2)

痛覚神経を刺激するもの(コリや疲労物質や傷)が無くなれば、痛みは治まります。

そのためにご自分でできる対応としては、とにかく患部を中心に温めることと、患部を疲労させないことです。
全身指圧は痛みの緩和がはかれますし、同時に疾病の治療になります。指圧でコリや疲労物質を減らしていき、また新たなコリができる原因(痛みによるからだへの負担、持病など)についても徐々に改善していくので、根本的な痛みの治療になります。

頭痛、肩こり、腰痛

痛みを我慢していると、患部だけにとどまらず他の場所にまで影響が及んでしまいますので、早めに指圧にお越し下さい。とても楽になりますよ。

筋肉疲労が原因のもの:
ご自分では患部を良く温めて、できるだけ安静をはかってください。全身指圧はとても効果がありますので、痛みを放置せず早めにお越し下さい。頭痛、肩こり、腰痛をひどくしてしまうと、五十肩、寝違え、ぎっくり腰になることがあります。

各種疾患が原因のもの:
単純な筋肉疲労からくるもの以外に、何がしかの疾患によってからだに負担がかかり、頭痛、肩こり、腰痛になってしまうこともあるので、こちらの場合はまず疾患の特定または治療を。疾患からくる頭痛、肩こり、腰痛にも、全身指圧は効果がありますので、治療と平行しておいで下さい。痛みの緩和はもちろん、からだ全体の血行を徐々に改善していくので、疾患にも作用します。
少しでも早く良くなるためには、毎日の自己管理も。温めることや休息することが、疾患の治療になります。痛みのあるところだけでなく、からだ全体を冷やさないように心がけましょう。毎日お風呂に入り、日中はカイロを貼って温めましょう。食べ過ぎも頚や腰の負担になります。

頭痛や肩こりの原因のひとつに眼精疲労があります。パソコン・テレビ・ゲームのある生活は、目の負担になるだけでなく、顔や頚肩周辺の筋肉にまで大きな影響があります。この後にある「眼精疲労」という項目をご覧ください。

肩こりの目安のひとつは、寝るときに枕に肩まで乗せてしまう(頭だけでなく)ことです。凝っている肩を枕で圧迫したほうが、楽に感じるのでしょう。このような時には治療においで下さい。

五十肩

頭痛、肩こりを放置したまま年齢を重ねると、五十肩になってしまうことがあります。

五十肩は、肩関節に炎症が起こる疾患です。原因は血行が悪いことです。必然的に筋肉も硬く、治癒力も低下しています。
からだは全体がひとつながりです。炎症を起こすレベルで肩関節周辺の血行が悪いということは、頚肩や頭部、体幹や下肢への血行も同じような状況とお考え下さい。

また五十肩の一番の怖さは、頭部に近いところの血行が常時悪いので、脳血管障害のリスクが高くなるということです。
しかるべきところで治療をして腕や肩周りの痛みが無くなり、動きが元通り良くなった場合は、治癒したものと考えられます。しかし、五十肩を放置しておいたら自然と痛みが無くなったという場合はどうでしょう?
このようなときは良くなって痛みが消えたのではなく、肩関節の傷みが進行して、痛みの感覚が麻痺していることが考えられます。痛みは無くなっても腕が思うように動かないときは、治っていないとお考え下さい。

一番大事なのは血行を良くすることです。筋肉が硬いと血行が悪くなり、血行が悪いと更に筋肉が硬くなります。悪循環になってしまうのです。血行が良くなれば、筋肉は柔軟になっていきますし、炎症も自然と治まっていきます。

ご自分でできる治療は、患部を貼るカイロで積極的に温めること。肩、頚、二の腕、肩甲骨周辺、胸の上部など。また毎日お風呂に入って、患部だけでなくからだ全体を温めること。温まって少し筋肉が緩んだら、患部をゆっくりと動かしてあげます。「少し痛い」と感じるところまで患部を伸ばして、そのまま数秒間維持します。これを繰り返すことで血行も良くなり、痛みも緩和されます。(当院では「ひじまる体操」のコピーを差し上げています。)

また、全身指圧は効果があります。五十肩は気長な治療をお考えください。五十肩の治療で困るのは、この疾患を軽く考えている方が多いことです。肩関節の炎症を自己修復できない状態です。脳血管障害のリスクもあります。軽く考えずにしっかり治療しておきたい疾患です。週に一回は治療をし、最低半年とお考え下さい。

指圧治療の良さは、五十肩の治療をすることが、すなわち全身の治療になることです。治療にある程度の時間はかかりますが、五十肩が改善されると共に、他の不調箇所も改善されていきますのでご期待ください。

寝違え

寝違えは痛くて困ります。そのうえ変な角度で頚が動かなくなった日には、仕事にも支障が出てしまいます。

寝違えは急性の疾患のようにみえますが、実は長い時間をかけて硬くしてしまった頚や肩の筋肉が原因です。筋肉が硬すぎて、寝返りなどのちょっとした動きにも対応できず、更に傷めてしまったのが寝違えです。(ぎっくり腰と同じ機序です。)

対応は、とにかく血行を良くすること。血行が良くなれば、筋肉は柔軟になります。

ご自分でできる治療は、患部を貼るカイロで積極的に温めること。薄手のタオルにカイロを2~3個忍ばせて、頚に巻くと良いですよ。またお風呂に入って芯までよく温まってください。温まって少し筋肉が緩んだら、患部をゆっくりと動かしてあげます。「少し痛い」と感じるところまで患部を伸ばして、そのまま数秒間維持します。これを繰り返すことで血行も良くなり、痛みも緩和されます。

また全身指圧は、患部をほぐし血行を改善します。是非治療においで下さい。

ぎっくり腰

腰痛がひどくなると、ぎっくり腰になることがあります。

ぎっくり腰は、何でもなかったのに急に痛くなるというイメージがありますが、実際は起こるべくして起こる疾患です。筋肉が硬くなりすぎて柔軟性が無かったのです。そのためちょっとした動きにも対応しきれず、更に大きく傷めて動けなくなったのがぎっくり腰です。(寝違えと同じ機序です。)

大事なのは血行を良くすることです。筋肉が硬いと血行が悪くなり、血行が悪いと更に筋肉が硬くなります。悪循環になっているのです。血行が良くなれば筋肉は柔軟になっていきますし、炎症も自然と治まっていきます。

ご自分での治療は、患部を貼るカイロで積極的に温めること。腰だけでなく、腹部や鼠径部、ふくらはぎなどを温めます。お風呂にも毎日ゆっくり入りましょう。なるべく安静を心がけ、食事は少なめに食べましょう。

全身指圧は効果がありますので、少し動けるようになったら是非お越し下さい。

足の痛み

足の痛みの厄介なところは、毎日歩かないわけにはいかないところです。患部は安静にするほど治りが早いのですが、足は絶対安静とはいかずに治療を進めていくことになります。また足の痛みによって、からだ全体のバランスが崩れがちですので、患部以外の場所への負担も大きいのです。ですから、早く治すように治療に専念しましょう。

治療方法としては、全身指圧はとても効果があります。
ご自分では患部を温め、冷やさないようにすることが大事です。足湯と貼るカイロの多用をおすすめします。夏も空調の風、冷房などの冷えに注意して、十分丈のパンツと靴下で足を覆いましょう。「自己管理のこと:夏も長袖と長ズボン」をご覧下さい。

また、患部を必要以上に疲労させないことも大事です。指圧治療をしていて困ることは、足の痛い方の中には「一生懸命歩かないと歩けなくなってしまうのではないか。」と不安に思っている方がとても多いことです。指圧後に少しでも楽になると、一生懸命に歩いてまた痛くなり、「悪くなった」とおっしゃるのです。(実際、悪くなったには違いないのですが。)
日常生活で必要な分を動いていれば、歩けなくなるほど筋肉が落ちることはありませんので、心配しないで少しゆっくりしてください。足を鍛える目的で歩くことは、治療途中ではかえって逆効果になってしまいがちです。たとえ痛みは改善されていても、まだ無理は禁物という状態もあるのです。

私の師匠は、膝に水が溜まることを「膝の水は自然のギブスだからね。」と表現します。良くない状態の膝を休めるために、からだが自然のギブスをはめてくれて、動きを制限しているということです。このようなときに人工的に水を抜いてしまうと、良くない状態の膝なのに動けるようになってしまいます。休息が必要な膝に、更なる負担がかかることになります。
全身指圧でからだ全体の血行を改善していけば、水(体液です)は自然に排出されます。排出しても大丈夫な状態であるとからだが見極めた時点で、自然に流れて無くなっていくのです。

「自己管理のこと:夏も長袖と長ズボン」参照
「病気のこと:外反母趾」参照
「自己管理のこと:健康な靴」参照

腕の痛み

腕に痛みが出る原因はいろいろあります。スポーツで傷めたもの、デスクワークによるもの、冷えによるものなど多様です。しかし原因が何であれ、痛む部分や周辺の筋肉組織の血行が非常に悪くなって痛みが出ている点では一致しています。
全身指圧はコリをほぐし血行を改善していきますので、非常に効果があります。頚肩やわきの下、背中の筋肉などを一緒にほぐしていくことで、腕の痛みの根本的な治療になります。

また冬の寒さは防御しても、夏の冷えには無防備な方が多いように感じます。夏も長袖長ズボンを推奨します。もし痛みがあれば、夏でもカイロを貼るのが一番効きます。汗はかきますが痛みには抜群の効果がありますので、是非お試し下さい。二の腕に貼るのがおすすめです。
「自己管理のこと:貼るカイロ」参照
「自己管理のこと:夏も長袖と長ズボン」参照

運動後の筋肉痛

多少の筋肉痛が出たとしても、普段動かさない筋肉を動かしてあげるのはとても良いと思います。筋肉痛が出たらすぐにケアをして、筋肉痛が治まったらまた同じように動かしてあげましょう。何度も同じ動きを繰り返していれば、楽に使える筋肉になります。

筋肉痛のケアとしては、まずはゆっくりお風呂に入ることをおすすめします。温めると疲労物質が早く排出されて痛みが緩和されます。早めに温めるほど疲労部分にコリができません。筋肉に炎症が起こっている時には、お風呂で温めると一時的に少し痛みが増すかもしれませんが、治りは早いです。炎症が治まっていれば、カイロで温めると楽になります。

指圧もとても効果があります。全身の血行を良くすることで筋肉痛が早く楽になります。運動した後は早めにおいでください。

不眠

「自己管理のこと:睡眠をとる」をご覧ください。

眼精疲労

自己管理としては、①まぶた②頚周辺を温めることが効果的です。温めるには、ホットパックやタオルに包んだカイロがおすすめです。毎日のちょっとした目のケアが、将来の白内障予防、緑内障予防になります。

眼精疲労の主な原因に、パソコン・テレビ・ゲームなどとともに紫外線もあげたいと思います。からだの調子が良くなると、紫外線がいかに目にきついかということを感じます。サングラスを身近なアイテムにしたいです。

高残香の合成洗剤、柔軟剤、除菌剤を使わないことも、目の疲れを軽減します。一見無関係に思えますが、揮発系の合成化学物質は、目の粘膜から入り込みます。神経にダメージを与え、眼精疲労の原因となります。また、五感は密につながっています。嗅覚の疲弊が、視覚や味覚の疲弊になります。

全身指圧は眼精疲労にも効果があります。筋肉を緩め、毒素を排出することによって、目の痛みが楽になります。定期的な指圧は目の疾患の予防になります。

高血圧、低血圧

指圧で体調を整えていくと高血圧の方は下がり、低血圧の方は上がり、両者とも正常値に近づいていきます。指圧はお薬のように強制的に血圧を上げたり下げたりするのではなく、傷めてしまったからだの能力を元に戻すことで正常値にしていきます。

塩分の多い食生活は、指圧で整えたからだをまた鞭打つことになります。高血圧の方は塩分を控えることを必須として、指圧と組み合わせた治療をお考え下さい。まずはのんびりと全身指圧を受けてみてください。からだが楽になると気持ちにも余裕が生まれます。気力が出たら食事内容を見直してみて下さい。

血圧が高いとなぜ良くないのでしょう?
高血圧は、常に血管に大きな圧力が加わっている状態です。大きな負担によって血管が徐々に劣化していき、耐えきれなくなれば破裂するおそれもあります。血管(血行)の病気は、全身に影響が及びます。糖尿病にも似て、じわじわとからだが蝕まれてしまうとても怖い病気です。
血行の大事さについては、「本文:からだの生命線」をご覧ください。

喫煙

喫煙は百害あって一利なしです。細胞レベルでからだを傷つけてしまいます。指圧治療でも、喫煙している方はからだが緩みにくいです。本当に良いところが一つもないと感じます。

不思議な話があります。
長年喫煙していた方がついに禁煙しました。禁煙してからの指圧治療は、以前よりからだが良く緩むようになりました。ご本人も効果の違いを感じていました。ある日の治療中、その方の全身(の毛穴だと思います)から急に、まるでニコチンが噴き出したような臭いがしてきたのです。周囲には何人か人がいて、急にタバコ臭くなったと皆分かるくらいなのです。その臭いが出てしまった後は、その患者さんのからだは大きく緩みました。
からだに力が出てきたので、害のあるものを外に出せるようになったのです。

昔は酒豪だったという方から急にアルコールのような臭いが噴き出したこともあります。満身創痍といった方から、形容しがたい臭いがしたこともあります。どちらの場合も臭いが出てしまった後に、からだは大きく緩みました。

他にもからだに害のあるものは、便や尿や汗で出ていきます。
何回か経験すると実はあまり不思議ではなく、自然治癒力は素直にすごいのです。

外反母趾

外反母趾は下駄やぞうりで歩いていた頃には無かった症状ですので、やはり履く靴を考え直していくことが大切だと思います。

歩く時というのは、路面の変化に合わせて足指でまずバランスを取ります。そこで取りきれないバランスを足首の関節で取ります。更にそこで取りきれないバランスをひざの関節で取ります。更に股関節、更に腰…というようにして歩いているので、もし路面に近い下方の関節でバランスが取れなければ、もっと上方で修正しなければなりません。どこか一箇所でも問題があれば、からだ全体のバランスが崩れる原因になります。

外反母趾の親指は、路面に合わせて踏ん張ることができない状態です。
①全身指圧で、足指の筋肉だけでなく、そこにつながっているところ全部を圧して緩めます。
②普段履く靴を健康面に配慮したものにします。
③はだしになって、足指で(特に親指)でタオルなどを手繰り寄せる運動をします。
④足は胃腸と密接につながっていますので、胃腸が疲れないようします。
これらのことで、あまりひどい変形でなければ改善することができます。
「病気のこと:足の痛み」参照
「自己管理のこと:健康な靴」参照

更年期障害

体調を整えてその年齢を迎えれば、更年期の症状は出ないようです。うちの指圧院では、ある程度のレベルで体調を維持している方は、更年期の症状は出ていません。40~50年間の疲労の蓄積したからだのまま、ホルモンバランスの崩れる閉経期に突入することで、更年期障害というつらい症状になってしまいます。

今現在このつらさのある方は是非指圧にお越し下さい。からだが整うにつれて症状は楽になっていきます。更年期に苦しむ年齢ということは、まだ非常に若いということです。指圧治療をしていると、40~50歳代などは回復力から言えばまだうんと若く、生命力が旺盛だなと感じます。「もう年だから。」などと言う方もいますが、あきらめたらもったいないです。体調が良くなれば「私ってまだまだ若いな。」と感じられると思います。

生理が無い、生理不順、生理痛

「指圧を受けた後に、生理が来ることが多いのですが。これは偶然ですか?」生理不順の患者さんに聞かれます。「もう生理は上がったかなと思っていたら、指圧後にまた来ました。」ということもあります。

からだの調子が整っていることと、生理が順調であることはイコールと言っていいと思います。生理が無い方、生理が不順な方、生理痛のある方。とにかく体調を整えること(生活習慣の改善)を考えていけば、良い方へ向かいますよ。痛みも体調次第です。

私自身も30代前半の忙しかった時期に体調が一気に下降して、ついに生理が無くなってしまいました。その後指圧を受けるようになり、だんだんに「指圧後に生理が来る」ということが多くなりました。そのうち不定期だったものが2ヶ月に一回来るようになり、なんと40代になってから20数日周期できちっと来るようになりました。
からだが整ったのですね。子宮にも卵巣にも脳(命令系統)にも本来の働きが戻ってきたので、毎月順調に生理がくるようになったということです。おかげさまで生理痛もなく、更年期障害とも無縁です。

生理はめんどうなものと思っていませんか?女性にとって生理は健康のバロメーターです。これから赤ちゃんを望む方はよりいっそう、良い生理のくるような状態にからだを整えておきましょう。

とりあえず今ある生理痛をやりすごしたいという方は、とにかくからだを冷やさないこと。下腹部、腰、仙骨、ふくらはぎなどを、貼るカイロなどで良く温めてください。楽になります。

母乳が出にくい

母乳がもっと出れば良いなというお母さんは、指圧にきてみてください。全身の筋肉を緩め、血の道を通してあげることで、お乳の出が良くなります。
胸部だけでなく、からだ全体の調子を整えていくことで、より良いお乳を作れる体内環境にしていきます。お母さんの体調が整うことは、お乳の成分にも影響があると思います。

火照る

「火照るので布団から足を出して寝てしまう。」「更年期なのか急に火照ることがある。」
火照りのある方も、コリが多く血液循環がとても悪くなっています。これも「血行悪し!」の警報だと感じます。からだが良くなってくると、火照りの感覚も無くなります。

「私は冷え性じゃないから冬も薄着で大丈夫。」「夏は冷房大好き。」という方が、実は血行不良で火照りと紙一重ということがあります。ご本人に自覚が無いので隠れ火照りといいますか。

体温は36.5℃前後です。これが保てないような外気温であれば、寒いと感じるほうが正解です。寒いと感じれば震えて発熱したり、毛穴を閉じたりして、36.5℃を維持しようとします。厚着をしたりカイロを貼ったり運動したり、寒さを遠ざけようとします。体温が下がると病気のリスクが上がってしまうので(体温が低いと免疫力ダウン、内蔵機能ダウン、筋肉硬化など)、寒さを自然と避けるのです。
正しく冷えを感じない方はこのような対処ができません。これはからだにとってダメージになっています。全身指圧で血行を改善し、冷えに敏感なからだになれば、火照るという感覚の解消につながります。

くすぐったい

「くすぐったがりなので、指圧やマッサージは苦手。」という話を良く聞きます。しかしこのような方にこそ指圧にいらしていただきたいです。くすぐったいは、からだが発する「血行悪し!」の警報です。指圧してコリが取れるにつれて(100%と言っていいほど)、触られてもくすぐったいとは感じなくなります。
全身指圧で血行を改善し、冷えに敏感なからだになりましょう。それがくすぐったいという感覚の解消につながります。

からだのにおい

足のにおい、脇のにおい、口のにおい、尿のにおい、便のにおい。においは体調のバロメーターです。体調が良くないほど嫌な臭いになります。

臭いの元は何でしょう。ひとつはからだに溜まった毒素だと思います。化学物質(ニコチン、薬他多数)、食品添加物、老廃物(新陳代謝の燃えカス他)、腸に停滞している便が発するガスなどです。もうひとつは、からだの組織の傷んだところが発するもの。内臓(例えば胃)が悪いと臭いがすることがあります。

全身指圧はとても効果があります。体調が良くなると臭いは薄くなっていきます。ブーツを脱いだときの臭いや脇汗の臭いなど、皆さん良くなっています。口臭については、まず歯医者さんで歯石のお掃除をしてみてください。便秘や内蔵疲労が原因ならば指圧で改善できます。

「病気のこと:喫煙」に書きましたが、からだに力が出てくると、溜め込んでいた毒素を便や尿や汗や生理で排出できるようになります。傷んだところも指圧で血行を良くすることで、徐々に改善していくことができます。

汗をかけない、汗かき

なぜ汗をかくかというと、暑い外気から身を守るためです。自力で体温を下げているのです。汗をかくことができないと冷房に頼りきりになってしまいます。
このところの夏の暑さは尋常ではないので、エアコンゼロとい訳にはいきませんが、ずーっと冷やしっぱなしもからだのダメージになります。できれば、冷房は必要最低限に使う生活スタイルにして、適度に汗をかくのが大事だと思います。

若いときは汗がかけたという方は、今は体調が優れないだけで元に戻るはずです。また、今の若い方は生まれたときからエアコンがある生活なので、汗腺が上手に使えないかもしれません。汗をかくのは人間に備わっている機能なので改善できます。汗がかけると何よりからだが楽ですし、老廃物も排出できて体内がきれいになります。
どうぞ指圧にいらしてみてください。

反対に、体調が悪いために病的に汗をかきすぎるとお感じになっている方も、全身指圧で改善できる余地があります。このような症状については私自身はまだ経験が無いのですが、師匠から「手汗がひどい患者さんが指圧で改善した経験談」を聞いています。

あくび

きのう寝不足だったというような理由がなければ、あくびが出る時は、脳への酸素供給が足りていないのです。脳へ少しでも酸素を取り込みたくて、大きく息を吸おうとするとあくびになります。
からだが消費する酸素量のうち、脳が20%も消費しています。酸素が足りないと、脳の機能が上手く働かないので、ボヤーっとしてしまうのです。

酸素は血液の中の赤血球によって運ばれます。頭部までの血液の通り道を作ってあげるために、お風呂に入ったり、頸肩周辺をカイロで温めましょう。
また、全身指圧は効果大です。脳への酸素供給が満たされれば、からだも安心してあくびが減っていきますし、ボヤーもなくなります。